FC2ブログ

ソーシャルブレインズ入門

ソーシャルブレインズ入門――<社会脳>って何だろう (講談社現代新書)ソーシャルブレインズ入門――<社会脳>って何だろう (講談社現代新書)
(2010/02/19)
藤井 直敬

商品詳細を見る


心理学の本かと思いましたが脳科学の本でした。著者は東北大学医学部卒業後MIT留学を経て理化学研究所で脳科学を研究する研究者。

従来の脳科学が閉じた領域での研究であったが、実際の脳は複数の脳の相互作用で働くことが多くまたそこが本質的な部分であり、そうした問題意識の元に立ち上がりつつある領域がソーシャルブレイン。2010年2月の新しい本ですが、黎明期であるようです。

作者は長年猿の研究をしているようですが、ソーシャルブレインでは多次元生体情報記録手法、といった手法で複数の猿の相互作用時の脳の状態を記録する、といったことを行っているようです。これにより特徴的なパターンをテンプレートとして抽出することができた。

黎明期であるこの分野の紹介といった本であり、ソーシャルブレインの成果を系統的に語る本ではありませんがおもしろいですね。今後の発展が楽しみです。

印象に残った点。
  1. 自他の境界
      実は我々が思っているほど自他の境界は明確ではない。
    • ラバーハンド実験
      一方の自分の腕を隠して変わりにマネキンの腕を置く。自分の腕とマネキンの腕に刺激を繰り返しているとマネキンの腕が自分の腕のような気がしてくる。
    • 仮想空間の中の生き物をで自分の意志で操ることができると、新しい自己身体像が獲得できる。これはスキーやドライバーなどの工具を持ったときにも起こる。
    • 人が自己と他者を区別しているポイントは身体感覚と視覚刺激の同期情報。

  2. 脳の構造
    • 脳は「カラム構造」と呼ばれる円柱状の機能単位が存在する。これは毛足の長い絨毯を横から見たときとよく似ている。絨毯の一本一本の毛がカラム。カラムは6層のネットワーク構造を持っている。
    • 脳の性能を高めるためにはカラム内の神経細胞を増やすと言う方法と、カラムそのものを増やすという方法があるが、脳はしわを増やすと言う後者の戦略を取った。これは現在コンピュータでCPUのクロック数の向上ヶ一定レベルに達した後はコア数を増やすと言う方向になっている状況と似ている。

1-2に挙げているような元々の脳の性質があるから、人はTVゲームやSecond Lifeのようなバーチャルな世界にはまるのですね。
1-1に関しては、昔F1レーサーの中島悟さんが自分の運転感覚、車幅感覚に関して、自分の体がぐーんと伸びて車が自分の身体になっているようなイメージになる、といったことを言っていましたがそれを思い出しました。
脳には元々自他の境界が明確にあるわけではなく、経験の中で視覚情報、運動感覚を元にダイナミックに自他の境界を組替えていくんでしょうね。おもしろいですね。

2は、ITの世界で言うスケールアップとスケールアウトですね。サーバアーキテクチャで言えばよく、Web層-AP層-DB層という3層構造でサーバの数を増やしていきますが、似てますね。脳の場合は6層なんですね。何故6層なのか、非常に気になるところです。
スポンサーサイト



テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

コメント

仏教と脳科学

私は和歌山県の住人です。坐禅を愛し、長年実践してきました。優れた効果があるから続けられたのですが。振り返って見ますと「漸悟禅」(漸修禅)だったようです。この一月に「涅槃(ニルバーナ)」の体験もして驚きました。
松下幸之助氏も長年続け、自身の器を大きくしながら企業の成長につなげました。
最近買った本は「脳を変える心」(茂木健一郎訳)
ダライ・ラマと5人の脳科学者のパネルディスカッションの報告書です。チベット仏教の悟った人・ダライ・ラマの友人・「慈悲の瞑想」の熟達者のすごさを脳科学的に検証しています。
もしかしたら御存知ではないかと思っておせっかいしてみました。
よく研鑽されて、さらに情報発信されてありがたいことです。感謝します。

Re: 仏教と脳科学

> 私は和歌山県の住人です。坐禅を愛し、長年実践してきました。優れた効果があるから続けられたのですが。振り返って見ますと「漸悟禅」(漸修禅)だったようです。この一月に「涅槃(ニルバーナ)」の体験もして驚きました。
> 松下幸之助氏も長年続け、自身の器を大きくしながら企業の成長につなげました。
> 最近買った本は「脳を変える心」(茂木健一郎訳)
> ダライ・ラマと5人の脳科学者のパネルディスカッションの報告書です。チベット仏教の悟った人・ダライ・ラマの友人・「慈悲の瞑想」の熟達者のすごさを脳科学的に検証しています。
> もしかしたら御存知ではないかと思っておせっかいしてみました。
> よく研鑽されて、さらに情報発信されてありがたいことです。感謝します。

コメントありがとうございました。嬉しいです。「脳を変える心」というのは良さそうな本ですね。また機会があったら読んでみたいところです。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2アフィリエイト
アフィリエイト・SEO対策
プロフィール

TanTan

Author:TanTan
東京の緑の多い区に住む普通の会社員。好きなことは読書、映画鑑賞、庭や近所の自然観察、数学や物理の勉強、など。

カテゴリ
SF (2)
最新コメント
最新記事
FC2カウンター
フリーエリア
検索フォーム
検索キーワード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
アイ・アム・ザット
アイ・アム・ザット 私は在る―ニサルガダッタ・マハラジとの対話Amazonで詳しく見る by G-Tools
「時間と自己同一化してはならない。不安げに「つぎは何か、つぎは何か?」と尋ねてはならない。時間から外に踏みだして、それが世界を滅ぼすのを見るがいい。そして言うがいい。”すべてを終わらせることが時間の本性なのだ。そうあらしめればいい。それは私には関わりない。”」(P.367)。分厚いが強い言葉に満ちた刺激的な本。現代のバイブル。
今ここに、死と不死を見る
今ここに、死と不死を見る―自分の不死の中心を発見するAmazonで詳しく見る by G-Tools
あなたは人間ではないのである(P.15)簡単な実験により自分が時間を超越していること、そして不死を体感するという刺激的な書。”アイ・アム・ザット”実践編といっても良いかもしれません。
すごい実験
すごい実験 ― 高校生にもわかる素粒子物理の最前線Amazonで詳しく見る by G-Tools
なんておもしろい本だろう。KEK助教の方が語る素粒子物理実験。普段から日常的に素粒子をいじっている、素粒子とお友達な人ならではの手に取るような素粒子物理の解説。物理学の入門書としてもとても良いと思います。
時空を旅する遺伝子
時空を旅する遺伝子~最新分子生物学の不思議ワールドAmazonで詳しく見る by G-Tools
人生観が変わった本。単純な原核生物には寿命はない。一方複雑な生物は自分の細胞にカウンターの仕組みをつくり(ヘイフリック限界)一定期間しか生存できないような仕組みを作りこんでいる。つまり死というのは進化により獲得した高度な能力なのか!
タグクラウドとサーチ

> tags
尾崎豊 間瀬なおたか 谷口雅彦 双曲幾何学 タイヒミュラー空間 代数幾何学 リーマン・ロッホの定理 リーマン面 小木曽啓示 真田幸村 仏教 法華経 三田誠広 ブッダ 俵万智 トポロジー IoT ビッグデータ 藤森照信 佐竹一郎 リーマン予想 複素解析 江國香織 数論 交渉術 ZTE スマホ 井ノ口順一 微分幾何学 連分数 無理数 超越数 深見じゅん 前野隆司 デリダ サルトル ニーチェ 素数 保江邦夫 量子力学 中学受験 武蔵中学 コホモロジー やなせたかし アンパンマン 吉田たかよし XJAPAN ガロア理論 小島寛之 益川敏英 ミニ四駆 ジョーイ・ロット ExcelVBA 虚数 アドヴァイタ まついのりこ 類体論 加藤和也 シャンカラ ファイマン図 竹内薫 場の量子論 相対性理論 非ユークリッド幾何学 前野昌弘 表現論 超弦理論 大栗博司 ニュートリノ 素粒子論 多田将 池上彰 微分幾何 ディラック 黒川信重 佐藤勝彦 広江克彦 ウォルター・ルーウィン 飽本一裕 河野俊丈 モジュライ空間 双曲幾何 ガンガジ 函数論 ヘルメス・J・シャンプ 黄金数 齋藤孝 村山斉 篠山節 トール ジュリアン・ジェインズ ノーレットランダーシュ ドラッカー アインシュタイン 般若心経 JavaScript トランスフォーマー ジョニー・デップ リチャード・ドーキンズ 利己的遺伝子 進化 ウィトゲンシュタイン 石川啄木 釈迦 サラ・ジェシカ・パーカー Android Java ジム・ドリーヴァー 複素力学系 フラクタル 養老孟司 空海 牧野富太郎 西垣通 苫米地英人 百人一首 ティモシー・フリーク ケン・ウィルバー キャメロン・ディアス 万葉集 ヤブカンゾウ マーケティング セーラー・ボブ・アダムソン パパジ 暗算 築山節 算盤 スティーブ・ジョブス カオス リチャード・カールソン 中山可穂 ハイデガー ドゥルーズ ショパン 頼藤和寛 クリシュナムルティ 唯識 DNA 塚谷裕一 ラマナ・マハルシ OSHO 一休 宮沢賢治 梨木香歩 良寛 トランスパーソナル 池谷裕二 松尾芭蕉 エックハルト・トール シュタイナー アンソニー・ホプキンス 勉強 ウィル・スミス ジル・ボルト・テイラー モーツァルト 白隠禅師 ラメッシ・バルセカール ダグラス・E・ハーディング ニサルガダッタ・マハラジ ステファン・ボディアン ジェニファー・ロペス ジョディ・フォスター 会計 ソニー・ロリンズ シャガール マネージメント スティーブン・キング Google 高野秀行 ミシェル・フーコー 盤珪 ファシリテーション マイルス・デイヴィス 下條信輔

Twitter