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史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち
史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち (SUN MAGAZINE MOOK) (2012/03/14) 飲茶 商品詳細を見る |
グラップラーバキで有名な板垣恵介さんのイラストが表紙で、軽そうな本に見えますが中身は秀逸でした。そこらの仏教関係の大学教授が書いている東洋思想、仏教関係の入門書よりはるかにわかりやすく、本質を突いているように思います。途中で般若心経も全文解説していますが、そこらの仏教関係者が書いている般若心経入門よりはるかにわかりやすい。著者の飲茶さんは東北大学大学院卒の実業家、バキファン、の方で、どんな方かよくわかりませんが、軽い文体でありながら本質を突いた解説、という印象でした。
東洋哲学が、古代インド、ヤージュナヴァルキヤ等に発したインド哲学が、釈迦、達磨、老子、等を経て、東へ東へと移り日本にて完成する、といったテーマで、主要な思想を解説しています。
印象的なポイント
私も何となく感じていた点を明確に説明しています。つまり、東洋哲学は本を読んでわかるような代物ではない。最初からそういいきってもらえると、読んだけど結局なんだかよくわからない、という消化不良感から逃れることができます。1. 西洋哲学は階段方である一方、東洋哲学は教祖を頂点とするピラミッド型。従ってピラミッドの頂点にいる人しかわからない代物である
本質を突いていると思います。労働に追われている人は、人生とは何か、人は何故生きるのか、など考えないでしょう。ある意味、人は余裕ができたから余計なことを考え始めたのでしょう。本来は生命にとって哲学などいらないのかもしれません。哲学とは行き場をなくした脳のエネルギーがCPUパワーを持て余して無駄にぐるぐる回っているだけなのかもしれません。2.古代インドのアーリア人はカースト制度を作り出し、バラモンは特権階級を手に入れた。バラモンたちは労働を下層階級に任せることで余裕ができ余計ないことを考えるようになり、哲学者になる。これは西洋でも同じで、西洋では、古代ギリシャ人は奴隷に労働を任せることで余裕ができ、哲学を考え始める。ちなみに、英語のSchoolの語源は古代ギリシャ語のscole(暇)である。
このウパニシャッドのアートマンと、仏教の無我、の関係がよくわからず気持ちの悪いものでした。著者の主張によれば、釈迦は一見ウパニシャッド哲学を否定するような言い回しをしているが、そういわざるを得ない背景がありそういっているだけで、本質的に異なることをいっているわけではない、ということです。3. 釈迦は古代インドのウパニシャッド哲学を踏まえたうえで存在する一人の人間である。しかしながら釈迦は、ウパニシャッド哲学で重要なアートマンは存在しない、という無我、を説いた。しかし、これはウパニシャッド哲学を否定したわけではない。当時の人々は、本来は概念では捉えられないアートマンを概念化していたので、否定する必要があった。
あまり気にしてませんでしたが、確かに、般若心経では、無苦集滅道、といっていますね。著者は、般若心経の真髄は、有名な色即是空、空即是色、ではなく、それ以降の仏教を含めたすべてを否定するところにある、と主張します。教えにすらとらわれず、すべての分別する智慧を捨てたところに真実が見えてくる、といったところでしょうか。こんなラディカルなお経だったんですね。4.般若心経は仏教の基本、四諦、八正道をも否定する
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